
家のベランダで始めたホップ栽培、2年目のシーズンを迎えました。振り返れば1年目は、ただ葉が伸び続け、増え続けるのを見守っていました。最終的には小さな毛花のままで成長が止まってしまうという、ほろ苦い結果で終了。
悔しさを胸に、リベンジを誓ってスタートした今年。同じようにベランダで育て、11月にホップを収穫できた友人のアドバイスを取り入れた結果、今年は明らかに、スタートから様子が違う・・・!冬を越して、春から芽が出た2年目のホップの収穫までの様子をお届けします。
2年目の芽の様子
前年の葉が枯れた後、冬の1〜2月はあえて何もせず、そのままそっと放置していました。
3月に入った頃。ネットから古いツルを外そうと手を伸ばすと、すでに「ポキッ」と簡単に折れるほどカラカラに乾ききっていました。まずは散らばった枯葉をていねいに掃除して、最初に植えた時と同じような、すっきりとした苗木の姿に戻してあげました。
3月後半、土に肥料を混ぜ込むためスコップをザクッと入れると、ガチッと何かに当たり、手元が止まりました。驚いたことに、小さな苗木からは想像もつかないほど、鉢いっぱいに太い根が力強く張り巡らされていたのです。中には、土の上にまでたくましく浮き上がっている部分も。ホップの底知れない生命力に圧倒されながら、肥料を混ぜた新しい土をそっと上から被せてあげました。その後は、「土の表面が乾いたらたっぷり」を基本に水遣りを継続しました。


4月に入って顔を出した芽は、昨年とは明らかに違っていました。 まるで「つくし」のようにしっかりとした太い芽が、一気に3本も突き上げてきたのです。同じ植物とは思えないほどの変貌ぶりでした。1年目に実が大きくならなかった時、私は「失敗した」と思い込んでいました。けれどホップは、見えない土の中で、次の春に向けて確実に力を蓄えてくれていたのです。
芽が出てからの勢いは相変わらず圧倒的。ツルが伸びきって手がつけられなくなる前に、今年は計画的に「選芽」の作業へ。場所が限られたプランター栽培のため、少ない養分をみんなで奪い合うことがないように。これからの成長を託すにふさわしい、元気なツル「2本」を厳選。残りの芽は、剪定ハサミでカットし、エリート2本に全ての栄養を集中させる環境を整えました。


1年目の反省点
1年目で実らせた友人との違いを確認した結果、気を付けたポイントは3つ。
①追肥のタイミングと種類
そもそも、私は最初の土には肥料を混ぜたものの、その後は特に、肥料をあげていませんでした。葉っぱがすくすく育ち、新しい芽が出ていく様子に満足してしまっていたのです・・・。その結果、ツルを伸ばすことに土の栄養を使い切ってしまい、実を大きくする前に冬を迎え、力尽きてしまったと考えられます。2年目はつるが高くなるまで、週1ペースでハイボネックスを混ぜて水遣りを行いました。
②日照時間の違い
1年目で実った友人の家は周囲の建物の影響で、あまり日当たりが良くない様子。比べて、私の部屋は日当たりが良すぎる。とはいえ、ベランダの向きは変えられないので、せめてもの意識で、日中は比較的陰になる場所にプランターを配置。茎が伸びてからは風通しを意識して、ネットを立体的に配置するようにしました。
③水遣りの頻度
朝の水遣りは行っていたものの、平日の帰宅は夜のため、実際は昼間に水が尽きてしまっていた可能性も。今年は猛暑を迎えるタイミングで「保湿」として土の表面にウッドチップを敷いたり、プランターの貯水機能を利用して、水を蓄えておくことを心掛けました。

毛花が出てきたら追肥
4月中はぐんぐんつるが伸びていき、5月に入ると、見上げる高さまで成長。そしてなんと、5月2週目には「毛花」が至る所に登場!昨年は10月末にようやく登場したことを考えると、今年は大成功の兆し。初夏に向けて、毬花が育つ可能性が見えてきました。
この時点で、友人からのアドバイスをしっかり活かして、追肥を行いました。


◆リン酸:毬花を大きく・香りを豊かにする
毛花から、ふっくらとした松ぼっくり状の毬花へ成長するためには、膨大なエネルギーを消費します。このタイミングでリン酸が十分に効いていると、花びら(苞葉)がしっかりと大きく、何層にも重なった見事なホップに育つようです。
◆カリウム:植物の細胞を強くし、根や茎を丈夫にする
毛花が咲き、実が膨らむ時期は、1年の中でホップが最も水を吸い上げる時期。カリウムは細胞内の水分圧を調整し、根から水分や栄養をグングン上へと吸い上げる「ポンプ」の役割を強化します。
⚠注意点
葉やツルを茂らせるために、初期段階では使うことの多い「チッソ」。ただ、毛花が出た後もチッソが多い状態を続けてしまうと、ホップが「まだまだツルを伸ばすぞ!」と勘違いしてしまい、せっかく咲いた毛花に栄養がいかず、ポロポロと落ちてしまったり、実が大きくならなくなったりする現象が起きてしまうようです。リン・カリ肥料を与え始めてからは、ハイボネックスのペースを2~3週間に1回まで落としました。
毬花への進化
昨年は見ることができなかった「毛花」から「毬花」への進化。本当に毎朝、様子を見るのが楽しくて仕方ない時期に突入しました。散らばっていた毛が下向きになり、うな垂れて、薄緑色の小さな花びらが顔を出し始める。この花びらが、魚のうろこのように中心を包み込むようにして1枚、また1枚と規則正しく重なり合っていきます。



6月に入ると、根から近い毛花のほとんど立派な毬花に!そのタイミングで、さらに上に伸びている茎にはどんどん新しい毛花が。
第一陣の収穫タイミングを見計らいながら、日々の成長を見守る期間となりました。


収穫の合図
ホップの適正な収穫タイミングを見極めるポイントは、「肌ざわり」。触ったときに水分を含んでいて、しっとり、あるいは「ぷにぷに」と柔らかい状態だと、まだ収穫は早いです。熟してくると水分が抜け、指でそっとつまんだときに「カサカサ」「パリパリ」と紙風船のような乾いた弾力を感じるようになります。弾き返してくるような独特のハリが出たら、収穫のベストタイミング。
1つ試しに収穫して、半分にカットしてみるのがおすすめです。軸の根元に「ルプリン」と呼ばれる鮮やかな黄色の粉(粒)がびっしりと詰まっていれば完熟の証拠。この段階になると、毬花を少し指でこするだけで、柑橘系やハーブのような、鼻に抜ける香りが強く漂うようになります。


見た目のベストは、鮮やかな緑から、少し「黄緑色(ライトグリーン)」。 ツルの葉っぱと同じような濃い緑色から、全体が少し抜けたような明るい黄緑色に変化します。全体が一気に茶色く枯れ始めてしまうと「収穫遅れ(過熟)」になり、香りが油っぽく悪くなってしまうので、茶色くなる一歩手前の「明るい黄緑色」のタイミングを狙います。

ホップの楽しみ方
収穫したホップの大半は、知り合いのビール醸造家へ。自分が育てたホップで造られるビールを飲める日が、今から待ち遠しくてなりません。実によって成長具合が違うため、収穫のタイミングがずれて手元に残ったホップは、自宅で様々な方法で楽しみました。

◆天ぷら
丸ごとホップを味わえて、大人の絶品つまみ。
山菜のような渋みがありつつ、
ホップの爽やかな香りも味わえます。
イメージとしてはふきのとうが一番近いかも。
衣をつけて1~2分、さっと揚げるのがポイントです。
◆市販のビールに追いホップ
市販のビールをグラスにそそぎ、
手でちぎった生ホップを2~3個浮かべるだけ。
香りが格段に上がります!
※
舌ざわりが気になる方は
お茶用のティーパックなどに入れて
ビールを注ぐと良いかもしれません。


◆自家製ホップオイル
カットしたホップをオリーブオイルで弱火にかけて
小さく泡立ち、焦げる前に火を止めます。
そのまま冷まして、煮沸したガラス瓶に移します。
お好みでニンニクや鷹の爪も一緒に入れるのも◎
バゲットにつけたり、パスタにかけるのもおすすめです。
2年かけて、ようやく収穫までたどり着いた、ベランダホップ栽培。諦めず、試行錯誤した結果の成功は、なにものにも代えがたい経験となりました。本格的な夏を迎える前に収穫できた第一陣のホップ。まだまだ毛花はたくさんついているので様子を見守りつつ、第二陣の収穫を目標に、水遣りを続けようと思います。

また、今年は成長スピードにネットなどの準備が追い付かず、ホップのつるの絡まりがひどい部分もありました。来年は収穫だけでなく、景観として楽しめるように、「ホップのグリーンカーテン」を実現させたいと思います!
記事:walk

